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2024年09月19日
21世紀の循環型社会における廃棄物処理について
ごみの分類はなぜこんなに煩雑なのか?
家の引越しや断捨離に際して、大量のごみや不用品を処分する必要があるとき、
その処分方法の煩雑さ、分類の難しさに驚かれる方も多いと思います。
普通ごみは〇曜日、プラスチックは〇曜日、紙ごみやペットボトルは〇曜日、、、等に分かれていますし、粗大ごみは自治体に依頼、冷蔵庫やテレビなどの家電は購入店に、パソコンやモニターはメーカーに、、、等々、いろいろなところに連絡して回収の手配をしなければなりません。
40〜50代以降の方ならば、「昔はこんなに面倒じゃなかったのに、、、」と思う方もいるかもしれません。
それもそのはず、高度成長期〜バブル期だった1990年代前半までは、消費増大や生産活動の拡大により、廃棄物排出量は増加し続けており、処分場の不足や環境への影響などが問題になり始めたのが1990年代中頃、その後次々と法改正や法整備がなされ、徐々に現在のごみ処理の方法が確立されていったのです。
「大量消費社会」から「循環型社会」へ
国際的な大気汚染・気候変動などの問題による世論の高まりを受けて、下記のような法律が次々と成立し、人々の意識も変わり始め、以前の「大量消費社会」から「循環型社会」へと変換し始めたのは2000年代に入ってからです。•容器包装リサイクル法(1995)
•廃棄物処理法改正(1997)
•家電リサイクル法(1998)
•循環型社会形成推進基本法(2000)
•建設リサイクル法(2000)
•食品リサイクル法(2000)
廃棄物処理に関する法改正
また、廃棄物処理に関してもさまざまな問題が発生しました。排出事業者も以前は「とにかく安く処理してくれる業者に」という認識だったため、無許可業者が横行し「不法投棄」「不適正処理」による環境への悪影響が問題になりました。さらに、ごみ焼却施設から発生しているダイオキシン類が健康に悪影響を与えると報じられ、国民の廃棄物処理に対する不安は増大しました。そのため、1997年以降、廃棄物処理法を逐次改正し「排出事業者責任の徹底」、「不適正処理対策」、「適正な処理施設の確保」を中心とした産業廃棄物処理の構造改革が推進されました。
ダイオキシンについても、「ごみ処理に係るダイオキシン類発生防止等ガイドライン」や大気汚染防止法、廃棄物処理法の改正によって対策を進め、さらに産官学の連携による研究と技術開発、焼却施設の整備、及び規制の強化を行った結果、2011年の廃棄物焼却施設からのダイオキシン類排出量は1997年に比べ約99%減少しました。
ごみ焼却で発生する余熱の再利用
さらに近年では、ごみ焼却施設で発生した余熱を利用して発電したり、温水プール等への温水・熱供給、地域への熱供給等でエネルギーの再利用を行う施設が増えており、ごみ処理量当たりの発電電力量は、下図のように概ね増加傾向にあります。廃棄物処理業者の責務
「循環型社会」の形成に向けては、国、地方公共団体、事業者、国民等が、それぞれの役割を認識して3Rを推進していくとともに、廃棄物の処理に関しても自身の責務を果たし、機能的に連携することで、適正処理を行う仕組みを構築・継続していくことが重要です。そのため、廃棄物処理法では、国、地方公共団体、排出事業者、排出者(国民)の廃棄物処理に関する責務を以下のように明確に定めています。このような枠組みの中で、自治体によって許可された「許可業者」は、責任をもって適正に廃棄物を処理しています。無許可の業者に回収を依頼することは、国の方針に反することになるだけでなく、法外な料金を請求されたりすることもあります。安い、無料といったうたい文句に騙されてそのような業者に依頼しないよう、ご注意ください。
※参考資料:環境省 大臣官房廃棄物・リサイクル対策部 企画課循環型社会推進室「日本の廃棄物処理の歴史と現状」